
Artist's commentary
耳元で「」殿の寝息が聞こえる。「」殿は眠りについた様だ。
そんな眠りの中に居る「」殿の胸元にぐっと潜り込んでみる。「」殿の心の臓の音と熱を感じて、とてもほっとする。「」殿が傍に居てくれているのは、嬉しい。これがきっと毎日続いてくれると思うと胸が熱くなるのを感じる。ただ・・・。ただ、妖夢殿には悪い事をしているのかもと思う。きっと、我が居る場所が元々妖夢殿が居たかったであろう事が、妖夢殿が「」殿に抱えていた気持ちが、前に「」殿と妖夢殿が一緒に居た時の事を見て、鮮明に分かってしまった。以前は、単純な嫉妬等と思っていたが、それとは違う、自分の一部を失ってしまうかのようなが喪失感が。今日も、独り「」殿の帰りを待っていて、寂しかった。妖夢殿と話し込んでいたと聞いて惨めな気分だった。・・・やめよう、こういう事を考えるのは、今はひたすら「」殿の体温を貪りたい・・・。そう思っていると、「ふふっ、布都様も大胆ですね。こんなに体を密着させて・・・」と声が聞こえた。後ろを振り向くと、すぐ後ろに青娥殿が座っていた。「貴女も乙女なのですね。ふふ・・・」とにやついて我を見る青娥殿。何の用だ?と我は問うと「そんな怖い顔しないで下さい。今まで可愛い顔でしたのに。・・・いえ、ちょっと伝えたい事がありまして。主に妖夢さんと「」さんの件で」と青娥殿は言う。妖夢殿と「」殿と聞いて、我はどきりと胸がなる。青娥殿は胡散臭い。太子もこいつの話に耳を貸して欲しくなかった・・・。しかし、我は妖夢殿と「」殿と聞いて、気にならずには居られなかった。話なら、外で聞こう。「」殿を起こしてしまうと我が言うと「はい」とうふふと青娥殿は微笑んだ。それで、話というのは何だ?と外に出るなり、我が青娥殿に聞くと「昼間ですね、「」さんと妖夢さんが仲良く手を繋いで歩いていたのを見まして、布都様にご報告しようと思いまして」と青娥殿は言い、「それはそれは、まるで恋人の逢引の様でして。」と青娥殿は言った。恋人・・・その言葉に胸が引き締まるのを感じつつも、それがどうした?我が言うと。「あら、なんともないんですか?」と青娥殿は聞いた。なんともないもこうも「」殿と妖夢殿は友人同士だ。そんな事当たり前ではないかと我は答える。答えながらも、唇が浮つく感を我は感じていた。それを気づいた様に青娥殿は「本当に?」と聞く。「本当に本当に本当に本当に?」そう繰り返し聞いてくる青娥殿の顔はとても愉快そうでわっふるわっふる