
Artist's commentary
Untitled
りゅうせいぐんのいたずらがき。
「本当に凄い流星の数ね。」
アリスの感嘆の声に魔理沙は頷く。
「りゅう座流星群って外の世界では言うらしいぜ。ほとんど見えない年と、嵐みたいに降り注ぐ年の差が激しいらしい。」
「つまり、今年は当たり年って事?」
「そういう事だぜ。」
魔理沙の解説にアリスは小さく笑った。
この暗くゆっくりと流れる流星の天体ショーに邪魔な11歳の明るい月は、どこかの隙間妖怪が気をきかせて隠してしまったらしい。
普段は月が消えてしまえば妖怪達が大騒ぎするはずなのに、アリスを含め誰も騒がないのは流星群がそれだけ素晴らしいという事なのだろう。
「寒いの?」
アリスが小さく震える魔理沙に気付いて声をかけた。
「ああ、ちょっと寒いかな。」
9月中旬まで残暑が厳しかったというのに、下旬の台風の後はかなり冷え込む日が増えていた。
「昼は暖かくても夜は冷えるから、上着を持ってきなさいって言ったのに。」
「今日は結構昼が暖かかったから油断しただけだぜ。」
「もう……。」
魔理沙の反省すらない言葉に、アリスは足元に置いてあった鞄からフード付きコートを出して差し出した。
「ほら。」
「ん……。」
軽く返事をしながら手を伸ばしかけた魔理沙だが、そのままアリスに抱きついた。
「ちょっと……。」
「コートだって温かいわけじゃないからこれでいいぜ。アリスも温かいだろ?」
「はぁ……。それって密着してる部分だけ温かいだけじゃないの。」
深い溜息をついてアリスは魔理沙の背にコートをかけると、落ちないように魔理沙の肩に手を置いた。
「帰ったら暖炉に火を入れてから温かい紅茶でも入れるわ。」
「それはありがたいぜ。」
しかし、しばらくこのまま流星を見ていてもいいかと2人は心の中で思っていた。
今回の流星群の第1極大は9日の3時だが月が明るすぎるとか、第2極大が同日の日の出前とか……条件悪いらしいから困る。
…月が明るいどころか、まさかの雨とか……。