
Artist's commentary
『ヤマアラシノジレンマ』
勇儀入浴中――――――。 パルスィ『何よ…いつも人の事好きだの愛してるだの言っておいて、何もして…くれなかったじゃない…。これじゃあ一晩中寝たふりまでしてた私が…バカみたいじゃない…。何なのよ…ホント、ホントに…莫迦じゃない』何故か泪が流れていた。堰を切ったかの様に流れる流れる涙を止める事が出来ず、私はアイツの置いて行った服に袖を通し泪を拭った。---嘲ってやればいいじゃないか、所詮愛してなどいなかったのだと、同情からの戯言だったのだろうと。それが、今は出来なかった。服に残香がアイツを思い出させ泪が止めどなく溢れ続ける。何故そんなに優しいの?何故私に触れてくれたの?何故…好きだと、言ってくれたの…? いつか描いた夢物語、略奪された愛を妬み、此の身を鬼へと堕とした私を、いつがまた誰かが愛してくれると。包み込んでくれるのだと。夢は夢、決して叶いなどはしない、解りきっていたではないか。 凍てついた心を宿した私を、アイツは美しいと言った。嫉妬を抱く私を、アイツは好きだと言ってくれた。 でもそれも昨日虚言だと気付かされた、他でも無いアイツ自身によって。既に泪は姿を隠し、思考は冴えていた。還ろう、あの頃に。帰ろう…、あの橋へと。渡る者の途絶えた、あの橋へ。私は着替えを終えるとすぐに部屋を出る。今は誰もいない、アイツの部屋を。 『…有難う、サヨウナラ―――。』 勇儀「大事な者だからこそ、壊したくないからこそ…触れる事が叶わない。―――我ながらなんという小心か、鬼がきいて呆れるよ…。」湯船を渡る波紋の音さえも、今の私には煩わしかった――――――。 /いや、要らないから、こういうの。…というかハイライトの入れ過ぎで非常に見にくい絵になってしまいました…、こんな筈じゃなかったのに…。これもまた後日消すと思います…。あと前回のイラストにコメント、ブックマークして頂けた方、本当に有難う御座いました!